えんどれす






「ひとみちゃ〜ん、こっち向いてよ〜」

私を無視してそっぽを向いている背中に話しかける。
大きくて、でもちゃんと女の子な丸みを帯びている大好きな背中。

「もう、なに怒ってるのよ〜?」

その背中にはどうしてなのかわからないけど『怒ってます』っていう文字が貼りついてるみたい。
不機嫌注意報のサイレンが「ウ〜ウ〜」って鳴っている。

「なにわめいてんだよ」
「へ?」
「ニヤニヤしながらウーウー唸って」

うそっ。私声に出してたの?
呆れたように肩を落とすその顔の視線の先には…あ、なーんだ。それで怒ってたのね。
ひとみちゃんってば…ウフフ。可愛いんだから!

「だーかーら!ニヤニヤすんなっつの」
「だってぇ〜嬉しいんだもん」
「なにがだよ」
「ひとみちゃんが怒ってる理由がわかったから」

片方の眉毛がぴくりとあがって少し上から私を見下ろす。
この拗ねたような少し子供のような大きな瞳が大好き。

「キャッ」
「あ、危ない!」

買ったばかりの新しい靴が私に意地悪して足がもつれた。
倒れこむように前のめりになったところをちゃんと受け止めてくれる長い腕。
やさしく、でもしっかりと捕まえられる。

「なにやってんだよ。ばーか」
「ふふ。ありがと」
「言っとくけど、怒ってんだからね」
「うん。知ってる」
「あたし怒ってんだからね」

怒ってるって言いながら私の背中にまわした腕を解かない。
それどころかぎゅうぎゅうぎゅうぎゅう抱きしめて。
心なしか手の位置が怪しくなっているのは気のせいかしら?

「ひとみちゃんこれで何度目?」
「そんなの知らないよ」
「前のときも拗ねちゃって可愛かったよね」
「なっ…拗ねてなん」

否定しようとする唇にチュウをした。
だって我慢できなかったんだもん。
口では拗ねた素振りなんてしちゃってるけど、手は私の背中をやさしく撫でていたから。

「ぷっは〜。なんだよ急に」

押さえつけていた唇を離すとちょっと真っ赤になりながら苦しそうにゴホゴホむせちゃって。
でも目の端がだらしないくらい下がってるから本当は嬉しいんでしょ?ひとみちゃん。

「ひとみちゃん、この手はなあに?」
「この手?」
「そう、この手」
「どの手?」
「もう〜わかってるくせにぃ」

さっきから私のおしりを撫でまわしている手を軽くつねる。

「イテッ」
「この手のことですぅ」
「なんだよ。ケチ」
「ケチですよーだ」

ぺろっと舌を出すとふいにひとみちゃんが真剣な表情になった。

「梨華ちゃん…」
「ひとみちゃん?」

抱きしめる手に力が入る。熱い眼差し。

「どうしよ」
「なにが?」
「すごくキスしたい」
「ここで?」
「うん」
「楽屋だよ?」
「知ってる」
「ダメだよ〜」
「さっき梨華ちゃんからしたじゃんか」
「私はいいんですぅ」
「どうして?ズルイよ」
「だってひとみちゃんよりお姉さんだから」
「なんだそれ。年は関係ないよ。ね、いいでしょ?」
「だ〜め。だって、ひとみちゃんキスだけじゃ止ま」

喋り終わらないうちに唇を塞がれる。
ひとみちゃんの唇が私の上唇と下唇をパクリパクリ。
ついばむようにチュッチュッしてまたパクリ。

一瞬の隙をつかれて熱い舌が侵入してくる。
私の舌をあっという間に捕まえて吸ったり咬んだり。
舌をからませながら酸素を欲しがるから声が漏れる。

「はぁんっ」

くちゅくちゅと音を立てながら唾液をゴクリ。
ぺろぺろ舐めて鼻先をぶつけあって髪をかきまわす。
腰にまわっていた腕はいつのまにかセーターの中。

「だ、だめっ…あぁん」
「ちょっとだけ。ね、ちょっとだけだから」
「ちょっとなんて、そっちのがいや〜」
「じゃ、たっぷりね」
「たっぷりもだめだってば〜。やぁんっ」

ふわっと胸のあたりに広がる開放感。ホックが外された。
私の返事を待たずにひとみちゃんが胸に手を伸ばす。
左手で腰を支えながらすっかり慣れた手つきで私の左胸を揉む。

「あんっ…もうっひとみちゃんのばかぁ」
「ふわぁ〜。やらか〜い」
「はぁぁ〜。あんまり激しく…しないで」

語尾が掠れて声にならない。気持ちよくて頭がポーっとなる。
いつのまにかソファーに押し倒されて両胸がひとみちゃんの手の中。

「ん?ここは固いね〜」
「やぁんっ…ひとみちゃん」
「両方ともこんなに固くして…梨華ちゃんかわいいよ」
「ばかぁ」

自由気ままな手をもう止められない。
ひとみちゃん…もっとほしいよ…。

「キス…して?」

胸を揉みながらひとみちゃんの舌がまた私の舌を絡め取る。
くちゅくちゅぴちゃぴちゃ。垂れた唾液が首すじを伝わる感触。
息苦しいけど離したくない。離れたくないよ…ひとみちゃん。

「はぁっはぁっはぁっ……」
「梨華ちゃん…」
「ん…ひとみちゃん…」
「あたしのだよね?」
「な、にが…?」
「この唇もこの胸も…」

セーターの中でひとみちゃんの指が私の乳首を弾く。

「固くなってるここも…全部あたしのだよね?」
「うん。そうだよ…全部ひとみちゃんの、なんだから…」

私の胸を揉み続けていた手がセーターをまくりあげる。
冷えた空気にさらされてさらに固くなったそこにひとみちゃんがしゃぶりついた。

「あぁぁんっ!もうだめっだめっ」
「りひゃはんのほれおいひいい」

すごく気持ちいい。
だめって言いながらひとみちゃんの頭を引き寄せているこの手は本当に私の手なの?
なんでもいいけどとにかくすごく気持ちいい。どうしよう。

「食べひゃいたい」
「ぅうんっはぁん」

ひとしきり舐めまわしてからひとみちゃんが徐々に唇を滑らせる。
え?どこにって?それはもちろん…

「あーっ!!だめだめだめだめだめーっ!!」
「そのかわいい唇、閉じてろとは言わないけどちょっと静かにね」

顔を上げたひとみちゃんが私の唇にちゅっとした。
にっこり笑われてその笑顔に流されそうになる。

「だめだよぉ」
「梨華ちゃん」
「そこはだめだもん…」
「梨華ちゃんはだれのもの?」
「…………ひとみちゃん?」
「はい。よくできました」

おへそのまわりをぐるっと2周。
いつもと変わらないその手順。ていうか舌順?
いつのまにか下げられていたスカートのファスナー。
ひとみちゃんの動きに合わせて腰を浮かしている私。
パサリと床に落ちたスカートを横目で見つつ次にくる刺激を予想して唇を咬む。

「今日もかわいいよ」
「………ばか」

ここが楽屋だってことも忘れてひとみちゃんの指が舌が私の中で躍る。
最初から拒むことなんて不可能。ていうか私も……望んでたから。

「うんっあんっひとみちゃ…」
「すごい…。梨華ちゃんいつもよりすごいよ」
「あぁん…そんなっ…かきまわさないで…おねがっ」
「だって梨華ちゃんのここ、すごいしめつける…」

ひとみちゃんが私の中を激しく動く。
でもひとみちゃんに言わせると私のほうが激しく動いてるらしい。
そんなの。だって。仕方ないじゃない。

「あんっはんっはぁんっ…」
「いいよ梨華ちゃん…ほら」
「あぁぁーーーーーっ」

頭の中が真っ白になって全身の力が抜けた。





「もうっ。ひとみちゃんのばか」
「えへへ」
「だめって言ったのに…」
「だって梨華ちゃんがかわいいんだもん」
「最後までしちゃうなんて…」
「やめたほうがよかった?」

答えをわかってるくせにそんなこと聞いてくるひとみちゃん。
悔しいから私のお腹にまわしている手をまたつねると「イタイイタイ」なんて言ってキスをねだる。
ひとみちゃんの膝の上で横座りをしたまま唇を落とした。

「機嫌直った?」
「機嫌?」
「さっき拗ねてたでしょ?」
「だれが?」
「だからひとみちゃんがです」
「まさか。あたしが毎回同じことで拗ねたりヤキモキしたりするわけないじゃん」
「ふふ。強がっちゃって」

テーブルの上に置かれた私の写真集を睨みつけてるその瞳。
瞼にちゅっとしたらひとみちゃんが私の鼻にちゅっとお返し。
写真集を手に取ってぱらぱらとページをめくる。

「毎回毎回なんでこんなにエロいんだよ…」
「でも私はひとみちゃんのものだよ?」
「そりゃわかってるけどさ…」
「あんな姿ひとみちゃんにしか見せたことないんだから」
「もちろんそうだけど…」

ビキニ姿の私ばっかり見てないでこっち向いてよね!もうっ!

「ちょっと!写真と私とどっちがいいのよ!」
「えっ?!いや、そんな、も、もちろん梨華ちゃんだよ〜」
「どっちも私なんですけど…」
「わかってるって。こっちの梨華ちゃんのことだよ〜」

そう言ってまた私の唇にちゅっちゅっちゅっ。
甘くて美味しいその唇を味わう。

「ねぇ梨華ちゃん」
「なあに」
「今度ビキニ着てやろうか」

ばか。
私の顔はたぶんすごく真っ赤でたぶんすごくニヤけてる。
そんなことを言うばかな口にまたちゅっとしてそっと耳もとで囁いた。

「いいよ」
「やばいよ…梨華ちゃん。またしたくなっちゃった」

そう言ってまたひとみちゃんが私を押し倒した。

「えっ!ちょ、ちょっとだめだってば」
「すぐ済むからさ。ね?」
「だめだめ。すぐなんていや…ってそうじゃなくて」
「いいからいいから。ちゅっちゅっちゅっ」
「ああん。もう」
「ん〜かわいいよ梨華ちゃん」

ひとみちゃんの手から落ちた写真集の中の私がこっちを見ている。
いつもひとみちゃんをヤキモキさせるそのビキニ姿の私が
ソファーの上で始まった私たちの姿を呆れたように見つめている気がした。










<了>


キリリクページへ




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送