ワナキャメ






   今日吉澤さんが絵里の仕掛けた罠に引っ掛かった。
   まさかこんな簡単に吉澤さんが捕まるとは思わなかったからびっくりした。
   絵里って天才なのかもって言ったられいなに笑われた。
   藤本さんが面白いくらいオロオロして吉澤さんを探していた。
   いろんな人に吉澤さんを見かけなかったか聞いていた。
   絵里は女優さんみたいにバッチリ演技して知らないフリをした。

   そのことを話すと吉澤さんはちょっと困った顔をして絵里を見ていた。
   絵里はそんな吉澤さんもかっこいいなぁと思ってじっと見つめた。
   吉澤さんが絵里を見て、絵里が吉澤さんを見ていた。

   吉澤さんを捕まえた網から昔インコを飼っていたカゴに移した。
   少し不満そうな顔をしていたけどそんな拗ねた表情も吉澤さんは素敵。
   絵里の指先をつんつんと鼻で突いて少しくすぐったかった。

   さゆが吉澤さんを見たがったけど絶対ダメって言ったら諦めてくれた。
   藤本さんには内緒にするって言ってたけど口が軽いさゆだから油断できない。
   さゆを見張ってなるべく藤本さんに近づけないように頑張った。

   頑張ったことを話したら吉澤さんが絵里に向かって笑ってくれた。
   でもすぐに寂しそうな顔になって下を向いてしまった。
   絵里がお仕事のときはひとりぼっちだからつまんないのかなと思った。

   吉澤さんのことが藤本さんにバレて絵里はすごく怒られた。
   さゆが喋ったんだと思ってさゆを捕まえたついでにれいなも捕まえた。
   もちろんうるさいことを言ってくる藤本さんも一緒に捕まえた。

   さゆとれいなのことを聞かれたから絵里はまたバッチリ演技した。
   でも矢口さんが絵里のことを責めるから矢口さんも捕まえてみた。
   さゆとれいなと藤本さんと矢口さんを同じカゴに入れておいた。

   吉澤さんに話したら泣き出したから絵里も一緒に泣いた。
   絵里が泣いていると吉澤さんが優しく指を撫でてくれた。
   吉澤さんの唇が柔らかくて気持ちよかったからすぐに寝てしまった。

   お仕事に行ったら絵里と5期の人たちだけで石川さんがいなかった。
   もしかしてと思って仕掛けっぱなしの罠を見たら石川さんが捕まっていた。
   面倒だったからそのままにしてお仕事をして帰った。

   吉澤さんのいるカゴの中は吉澤さんの流した涙の海になっていた。
   溺れそうになりながらそれでも涙を流し続ける吉澤さんはとっても綺麗。
   絵里も知らないうちに泣いていてついにカゴから涙の洪水が





「なんだこれ?」
「あー!返してください!返してください!」

よっすぃ〜が亀ちゃんの手もとから一枚の紙を取り上げた。
飛び跳ねながらギャーギャー騒ぐ亀ちゃんの頭を押さえると
「なになに…今日吉澤さんが絵里の仕掛けた罠にひっかかったぁ?!」と素っ頓狂な声を上げた。

「あたしがいつキャメちゃんの罠にひっかかっかたのさ」
「もう〜っ。吉澤さんかーえーしーてー」
「ほら!ジャンプッ」
「エイッ!エイッ!」

亀ちゃんの手が紙に届かないようによっすぃ〜は目いっぱい腕を伸ばした。
紙を取り返そうと一生懸命にもがく亀ちゃんの顔はなぜかやっぱり笑っていた。
ジャンプしたり膨れたりする姿がよっすぃ〜のツボにハマったようだ。

「ほれほれ。取り返してみろ〜」
「あーん。吉澤さんのイジワル〜…うっ、ぐすっ、ぐすん」
「え?!キャメちゃん?な、なにも泣くことないんじゃない?」
「だって、だって、絵里は吉澤さんに笑ってほしくて…」

よっすぃ〜の服の裾を掴みながら亀ちゃんはあくまでも可愛らしく泣き続ける。

「お話を作って読んでもらおうと思ったのに…まだ途中だったのに…ぐすっ、吉澤さんのばかぁ」
「あー!キャメちゃんごめん!ごめんって!泣くな〜」

ヨシヨシと頭を撫でられた亀ちゃんはよっすぃ〜から見えないようにシメシメと笑った。

「んっと…ジュースおごるから許せ。なっ?」
「ごはん…」
「は?」
「ごはんがいい…」

矢口さんお先に、と言ってよっすぃ〜は亀ちゃんに連れられて帰っていった。
後に残された一枚のくしゃくしゃになった紙を拾う。

なんとなく泣きたくなった。










<了>


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