心地よい嫉妬






「なんなんだよ!!うちのときはあんなに反対したのに!!」

薄暗い部屋の中でテレビの画面の明かりが真っ白なよっちゃんの肌に反射している
私はそんな横顔を見つめつつ、ため息をひとつ吐く

「お仕事です・・よ・・?」

PVを見終わってもこっちを見ようともしない

「ねえ・・??」

よっちゃんはぐっとこぶしを握りしめ画面を睨み付けたまま
「なんだよ!!あの事務所はくそだ!!! うちはだめで三好はいいの?全然わかんないよ!!」

「近すぎる!!寄り過ぎる!!近寄り過ぎる!!三好はやばいと思ってたんだ!!」
怒りに任せしゃべり続けるよっちゃんをぼっーーっと見つめてしまう

やっぱり綺麗だなあ かわいい

抱きしめたい
私は無意識に彼女に手を伸ばしていた

「卒業だけでもヤなのに!!なんでこんなもっ・・!!」
触れた瞬間びくっと体を震わせゆっくりこっちを見たよっちゃんは大きな瞳に涙をためていた

ああ、なんでこんなにいとおしいのだろう
何も言わずゆっくり抱きしめるとよっちゃんもきつく抱きしめてくれる
顔をあげ瞳にキスをすると涙と一緒にあなたの悲しみがなだれ込む

ー私も不安だよ いつも嫉妬ばかりでおかしくなりそうなのはいっしょだよー

いつも言葉にできないけどその分 あなたは私にぶつけてくれる
私はそれを聞いて安心する
何度目かのキスの後 あなたは少し体を離した
「なに満足げに笑ってんだよ?」

どうやら私はニヤついていたらしい
「そんなに余裕があるならすこし頂戴?」
少し落ちいたあなたは色っぽい瞳で覗き込み 私をゆっくり押し倒す

いいよ 私があげれるものは何でもあげるよ・・


・・・・・



「これは・・・非常に危険です!!」

声が聞こえ目を覚ますと
裸の私の上にのしかかったこれまた裸のよっちゃん
「なっ!何してんのよ!」
「三好だよ!!」

ああ まだ怒ってたんだ・・ため息をつく私に
「なんだよ その態度!こんな体勢で梨華ちゃんに惚れない訳ない!
 この腰だよ?!ああ!この乳!!」

大真面目なあなた すっごい馬鹿なこと言ってるよ?
体勢が全然違いますよって・・絶対聞いてないよねぇ
ああ 眠い
「大丈夫だよ。絶対無いから」
横向きになり寝ようとすると
肩をぐっと捕まれ仰向けにさせられる
「なんで絶対とか言えちゃうの?その無意識で今まで色々あったでしょ!!」
えーっと全部あなたに返したいんですが?
色々あったと思ってるのはあなたの妄想がほとんどだし

「あのね 三好ちゃんはほかに好きな人がいるのよ。それに最初のころのPV撮影思い出してよ。
 緊張して振り付けをこなすだけで精一杯だったでしょ?」

「うむむ、確かに・・あっ!でもこの間三好ちゃんに好きな人いるか聞いたら
 真っ赤な顔して梨華ちゃんの顔みたじゃん!!」
「それは・・・」
「それは?」

「うーんとね わ、私がその人を知ってるから、よ!」
「ふ〜ん で誰?」
「い、いえません!そんなに人の秘密をべらべら話すほど口軽くありません!」
お互い探りあうような視線がぶつかる
「とにかく 絶対無いから!」強い視線を作って言い切る
よっちゃんは納得いかないようだけど 頑固な私を良く知ってるから深追いはしてこない

「わかったよ・・ああ 卒業したらもっと増えるんだろうな・・」
私の胸に顔をうずめながらぼやいている
「私のほうが絶対辛いよ?よっちゃんいろんな子触るし・・」
「ぷっ!触るってメンバーじゃん!みんなうちらのこと知ってんだよ?家族同然じゃん。
 梨華ちゃんだって麻琴とかとベタベタするけど全然大丈夫だよ?」

家族はあんな表情であなたを見ませんよ
それにあなたの触り方は普通ではないです

「三好ちゃんだって知ってるよ?」
「えっそうなの?じゃあ、岡パイっ!じゃなくて岡田も?」
「岡パイ?(ギロリ)知ってるよ。何か問題でも?」
冷ややかな私の視線に青ざめるあなた
岡パイって・・やっぱりそこなのね

「で、でも三好はずっといっしょに居るわけジャン!やばいよ!
 岡田が二人の接着剤になってくっついちゃうんじゃない!!?ああああ」

あっそういうことか・・

あなたの焦燥感、疎外感が見えた気がした
でもそこには触れないよ 悪い思いはどんどん膨らむだけだから

「唯ちゃんは辻かごとは違うよ〜自分と三好ちゃん重ねんのやめてよ」
私は呆れたふりで話を終える

私の思いを全部しゃべったら安心してくれるかもしれないけど
バランスを失う気がしてしまう
それが怖くていつも言葉が胸の中に逃げてしまう

ううん 本当はね ちょっと心地いいの あなたの嫉妬が

ごめんね

でも私のほうが確実に不利
美貴ちゃんがこの状況を見逃すわけがないから


「あっ岡田ちゃんになんかしたら・・良く解ってるよね?私の家族ですからね?」

「梨華ちゃんの家族は私の家族だよ!!」

はい アウト



翌日
「おはよう〜よっちゃんさん」

やってきた悪魔 いつもはもっと機嫌悪そうにやってくるのに
今日はテンションが妙に高い

「おお みきちゃんさん。今日は機嫌がいいねえ〜寝癖もないねえ〜かわいいよとっても」

さらりとよけいなこと言った

「へへ〜あれえ?どうしたの?右の頬腫れてない?」
みきちゃんの手があの人の頬に触れる 胸がきりっと痛む
「き、気のせいだYO」
昨夜のことを思い出し目が泳いでいる
ふふっと笑い美貴ちゃんはよっちゃんの横にぴったりと座る

ふれあう肌
私の胸にまた小さな錘が落ちる

「それより見た?梨華ちゃんの新しいPV」
私のほうをちらりと見つつよっちゃんの様子を伺う
「うん見たよ ちょっとやきもち焼いちゃったけどお仕事だからね〜へへ」
ちょっとでしたっけ? みんなの前ではかっこよく居たいのね
その反応は美貴ちゃんの予想とは違ったらしい
少し不満げに視線を落とす
しかしすぐ顔をあげ
「私たちも負けないように頑張ろうね!」
いつもの少し棘のある表情はどこへやら
驚くようなやさしい微笑でよっちゃんを見る
よっちゃんもやわらかい微笑みを浮かべて彼女を見る

私は完全に枠から出された
さっきまで私とよっちゃんの括りだったのに
いつの間にかみきちゃんとよっちゃんの括りになってる
彼女はこういうテクニックが非常にうまいのだ

怖い

そう思った瞬間 あなたは私を見て
「負けないよ 三好になんか」

よかった あなたが馬鹿で

あなたの純真無垢な顔の後ろに
顔中に悪意をみなぎらせ今にもつばを吐き出しそうな顔が見えた


その日の午後
〜美貴SIDE〜

梨華ちゃんは美勇伝でいない
だからといって美貴はよっちゃんにすぐには近寄らない
時間はこれからいっぱいあるんだから

ちょっと離れたところからよっちゃん観察
麻琴がじゃれついている いやがるよっちゃん
その後ろからコンコンがうっとりと見つめている
愛ちゃんはガキさんと話しながらも ちらちらよっちゃんを見ている
愛ちゃんのいい加減な相打ちに切れるガキさん
6期は固まって話をしていたが
麻琴とコンコンがお菓子を取りに席を立った瞬間、亀井が動いた
いつものことだからほかの二人は気にしない
よっちゃんの前に立ち一生懸命何かを話してる
そんな亀井をソファーの横に座らせ、話を聞くよっちゃん
ちょっと意地悪な表情でからかいながらでもやさしく
亀井の訳のわからないであろう話を聞いている

ううう・・だんだん我慢できなくなってきた

「で、我慢できなくなった?」
後ろで声がして私は思わず何度も頷いた

はっとして立ち上がり振り向く

誰も居ない

あたりを何度も見回す

やはりいない

「下だよ!下!」
不機嫌な声の発するところに視線を落とすと
リーダーが精一杯背を伸ばして立っていた
「わざとでしょ? まあいいや」
もう慣れっこなんだろう 表情は怒ってないようだ
「早くしないと麻琴が戻ってくるよ」
からかうように私を見る
「焦りませんよ ゆっくり行かないとあのタイプは難しいんですよ」
私は視線をよっちゃんに向けながら言った
「おっ なかなか大人の発言だねえ」
矢口さんもよっちゃんを見つめている
「へへ まっ見ててください」
「さっきみたいに策に溺れない様にね」
二人で顔を見合わせ笑いあう
お見通しって訳か

「矢口さんだって行きたいんじゃないですか?」
なんてからかったつもりだった
「もう行けないよ。リーダーだもん」
返ってきた答えは思ったより胸に響いた
ああ そっか リーダーも大変だね
せっかく最大のライバルが卒業なのに
その卒業がリーダーとしては最悪の事態を呼ぶかもしれないという状況
メンバー全員同じだけどリーダーは矢面に立つのだ

「美貴にもできることあったら言ってくださいね」
「うん!頼りにしてるよ!!」
ありきたりのことしか言えないけど 危機感は同じ
大丈夫 みんな結構やる気になってますよ
仕事も争奪戦も

美貴はどんな勝負も絶対負けないけどね



〜梨華SIDE〜

ああ 不安
あの人は今頃 みんなにちやほやされてニヤニヤしてる
これは間違いない
麻琴がいちゃいちゃしてるのはまだいい
相手にしてないのがわかるから(失礼だろ)
麻琴から私がいない時の情報を事細かにもらってると
案外曲者は亀ちゃん 隙をつくのがうまい
ただの隙間好きじゃなかったわ
でもやっぱり一番怖いのは美貴ちゃん
私がいるとべたべたしてくるのに、
いないときはあまり近寄らないのは何か戦略的な感じがする
ほんと 侮れないわ〜

「「リーダー!!」」
二人に呼ばれ意識を戻す
「大丈夫ですか?すんごい悪〜いオーラでまくってましたけど」
「うん、アイドルとは思えないかんじやった〜」

「ごめん ちょっとネガはいっちゃって・・」
「あっ私たち頑張りますから!もっともっと前に出るように!」
「私も頑張る〜」
仕事の事だと思ったんだ しくじったなぁ
彼女たちは私のお荷物にならないよう必死にキャリアの差を埋めようとしている
今必要以上に私の反応に敏感になってる二人の前でする態度じゃなかったと反省する

「二人ともすっごい頑張ってるよ!違うの仕事じゃないの。誤解させちゃったね〜 ごめんね」

「もしかして吉澤さんのことですか?」
三好ちゃんが遠慮がちに言う
「吉澤さん? ああこの間励ましてあげましたよ〜♪」
「ふぇ?」
私は不思議に思い顔を上げると
唯ちゃんは自慢げに胸を張ってしゃべりだした
「この間〜吉澤さんと美勇伝の話してたら急に落ち込んじゃってそっちに入りたいなあって〜
 なんかほんとに泣きそうな感じやったから抱きしめていい子いい子してあげたら直りましたよ〜!
 アンコールまでもらいました〜三回ほど〜いい事しましたわ〜!!」

ぶちっ

「ああそう。有難う岡田ちゃん。今度からそういうことあったら甘やかさないで私に報告してね」
能面のような顔で一気にいうと私は忘れないようにメモにとった

あのエロ親父め

岡田ちゃんは三好ちゃんに「なんか悪いことしたやろか?」と聞いていた
その後小さな声で三好ちゃんが「下手なことは報告しないほうがいいよ」と
教えたこととさらに小さな声で「でもいいなあ唯ちゃん・・」と呟いたこと
私には聞こえた
この子達が七期じゃなくてよかった



お互いが離れていても安心って思えるほど大人じゃない

三好ちゃんがあなたを好きだって事は絶対言わない
気づかせない
そしてもっとやきもち焼いていて
私の事しか考えられないぐらい
あの人がやさしくする人はいっぱいいるけど
嫉妬して貰えるのは私だけ
私はあの人を独り占めするためにもトップを走り続ける

そして いつまでも あなたの心地よい嫉妬の中に私を閉じ込めて











初めて書きました。捨てるつもりでした。そんな物を人様に送りつけHPにうpさせる私は何様でしょうか?と反省。本当はもっとミキティががぶりよる話だったんですけど 岡パイに負けました(謎
こんなものを受け取ってくれたロテさんに感謝です。 (2005/3/18)

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